品質スローガンは主に、製造業(メーカー)などで商品・製品の品質向上の意識を高めるために掲げられるスローガンのことです。品質標語と品質スローガンの違いは、宣伝色が前面に押し出されたものを特にスローガンといい、それが標語との違いと言えましょう。毎年の同じ時期に現場で働く従業員から募集を行って品質向上意識を高めようとする企業もあります。
品質の向上と顧客満足
品質の向上は企業利益獲得の課題でもあります。そして品質の向上は顧客満足を獲得する方向へ向かわねばなりません。とは言え、商品やサービス単体の品質の向上が即顧客満足に繋がるかといえばそうとも限りません。また、品質の向上のコストがかかりすぎても本末転倒です。
そういう意味で、品質向上のスローガンや標語を考える際、その前提として、CS「Customer Satisfaction」すなわち顧客満足とは何かについて考えることも有益でしょう。
また、顧客満足は販売行為の実施を最終手段とします⇒販売スローガン 例を参照。
品質標語集の優秀作品の例
品質標語がいかなるものか、各社が優秀作品として発表した品質標語集から見てみましょう。
ミユキ化成株式会社はプラスチック加工の会社です。こちらの平成21年度の品質標語最優秀作品は「ひとりひとりの意識の向上 生まれる信頼 高まる品質」となっています。特別賞に「お客様の立場に立ち、品質のよきもの作りを目指す!」という作品がありますが、これは顧客満足を指向しているようです。
http://www.miyuki-kasei.co.jp/cgi-bin/news/news.cgi?mode=detail&news=20091202_01
ソフトウェア品質標語大賞を発表・掲示するバルテス株式会社は、ソフトウェアやコンテンツのテストを実施して、顧客の開発したソフトウェアの品質向上サービスを手がける会社です。また、そういったテストのコンサルティングノウハウも持っておいでのようです。ここで大賞に挙げられた作品は「品質は確認項目数とお客様からの声の数である。」です。
ソフトウェア業界ならではの品質標語(品質スローガン)ですが、これらの標語作品は業界からの応募によるもので、業界を知る作品とも言えましょう。
工場の品質標語と品質月間
(財)日本科学技術連盟(JUSE)では、毎年の11月1日~30日を品質月間(Quality Month)と定めて、品質意識の高揚、品質の重要性、品質活動の普及に努めています。その諸活動の一環に「品質標語(品質スローガン)」の募集があります。
【関連記事】品質標語 品質月間に寄せて
第51回(2010年)品質月間テーマは「品質の原点にかえり 先駆者の知恵に学ぶ」であり、これを受けて、工場を要する企業各社が応募し、第51回品質月間「品質標語」が決定されています。
第51回品質月間「品質標語」決定!
http://www.juse.or.jp/q-month/51/monthly_01_slogan.html
(財)日本科学技術連盟は科学技術の進歩・発展のための諸活動を通じて、産業界に寄与することを基本方針としています。その実現のために調査・研究・開発、大会・ シンポジウム、教育訓練・国際交流、QCサークル活動の全国的普及、技術相談及び広報・出版などの活動を通じて科学的な経営管理技術の普及・進歩・発展に努めています。中でも『品質』を中核にする経営管理技術に関しての各種事業は、国内はもとより世界各国から注目を集め高い評価を得ているとのことです。
そして、(財)日本科学技術連盟が重視する活動上のキーワードは『TQM, QC, 品質管理, 品質, クオリティ, QCサークル, ISO, デミング賞, 審査登録機関, 研修機関, 教育, 経営, 質経営, 品質経営, 方針管理, 信頼性, 小集団活動, 管理技術, 統計的方法, ソフトウェア, 医療, 質』となっています。
公益法人である(財)日本科学技術連盟の詳細はこちらを参照
http://www.juse.or.jp/about/404/
なお、第52回(2011年)品質月間テーマは「危機を力に品質革新 再び世界NO.1」となっています。
関連記事:朝礼ネタ 品質スローガン
品質川柳
品質川柳は、ともすればたてまえ的な品質標語に比べ、川柳であるから当然とは言え、皮肉的な作品内容となっていて、品質追求の現場の実情が浮かび上がるようです。
第51回品質月間(2010年度)品質川柳 入選作品(優秀作品、佳作)が決定しています。優秀作品6句の内の一つは「品質会議 現場一人に 幹部4人」。
http://www.juse.or.jp/q-month/51/monthly_01_senryu.html
品質川柳スクリーンセーバー
品質川柳スクリーンセーバーが好評とのこと。品質川柳スクリーンセーバーダウンロードのご案内はこちら。
http://www.juse.or.jp/q-month/51/monthly_01_screensaver.html
セキュリティ スローガンについて
前記の品質川柳には、経営陣や管理者への現場の声が反映しています。筆者は警備業界に身を置いていますが、ある意味「究極のサービス業」である警備業務では、顧客の言い分重視の傾向に流れ易く、本来の仕様を逸脱した仕事が増えていく・・・という実情があります。これには企業間の力関係が強く反映していることを否定できません。ともあれ、セキュリティとは警備業務の中核をなすもの。以下に関係リンク先をご紹介しておきたいと思います。
日本セキュリティ・マネジメント学会
http://www.jssm.net/
セキュリティに関する標語の入選作品
http://www.jssm.net/jssm/hyougo2006.htm
入選作品
http://www.jssm.net/jssm/hyougo2006.pdf
2007年カレンダー
http://www.jssm.net/jssm/2007calendar.pdf
立川剛さんのサイト「実践!管理者道場」での品質管理の標語と格言です。
http://www.uvc.co.th/J72.htm
【関連記事の紹介】
品質標語の作品例に見る品質管理 では、品質管理が如何にあるべきかについて、品質標語の作品例に触れながら述べています。