◆ 任用試験の「十界論(教学入門)」について、要点を述べています。
「十界(じっかい)」とは、仏法の生命観を説いたもので、生命の状態・境涯を10種類に分類したものを言います。そして、この十界の生命状態の一つ一つ全てに十界が具(そな)わっていることを「十界互具(じっかいごぐ)」と言います。
十界の生命状態(境涯)について
十界のそれぞれがどのような境涯か。十界論を以下に説明しています。
①地獄界(じごくかい):苦しみにしばられた最低の境涯。『瞋(いかる)は地獄(御書)』といわれます。
②餓鬼界(がきかい):欲望が満たされずに苦しむ境涯。『貪(むさぼ)るは餓鬼(御書)』といわれます。
③畜生界(ちくしょうかい):目の前の利害にとらわれてしまい、理性が働かない「愚(おろ)かさ」をいいます。『癡(おろ)かは畜生(御書)』。
④修羅界(しゅらかい):自身と他人を比較して、常に他人に勝ろうとする「勝他(しょうたの念」)」を強くもつ境涯をいいます。『諂曲(てんごく)なるは修羅(御書)』。
⑤人界(にんかい):穏やかで平静な人間らしい生命状態をいいます。『平(たいら)かなるは人(御書)』。
⑥天界(てんかい):さまざまな欲望が満たされて喜びに浸(ひた)っている境涯です。永続的ではなく「一時的な喜び」の境涯。『喜ぶは天(御書)』。
⑦声聞界(しょうもんかい):仏の教えを聞いて部分的な覚り(さとり)を得た境涯をいいます。
⑧縁覚界(えんかくかい):自然界など、様々な物事を縁として、一人で部分的な覚りを得た境涯。
※声聞界と縁覚界を2つまとめて「二乗(にじょう)」といいます。
⑨菩薩界(ぼさつかい):「抜苦与楽(ばっくよらく)の実践:苦しみを抜いて楽を与える行動」で、自他共の幸福を願う菩薩の心の境涯をいいます。
⑩仏界(ぶっかい):御本尊を信じて自行化他(じぎょうけた)にわたる「唱題行:南無妙法蓮華経のお題目を唱えること」に励む時、現すことができる福徳豊かな境涯をいいます。
十界の分類
以上の十界は、以下のように分類されています。
六道(ろくどう):①地獄界・②餓鬼界・③畜生界・④修羅界・⑤人界・⑥天界の6つをまとめて、六道といいます。
四悪趣(しあくしゅ):①地獄界・②餓鬼界・③畜生界・④修羅界の4つをまとめて、四悪趣といいます。
三悪道(さんあくどう):①地獄界・②餓鬼界・③畜生界の3つをまとめて、三悪道といいます。
四聖(ししょう):⑦声聞界・⑧縁覚界・⑨菩薩界・⑩仏界の4つをまとめて、四聖といいます。
二乗(にじょう):⑦声聞界・⑧縁覚界の2つをまとめて、二乗といいます。
任用試験2022(11/6)のための【過去問】ご案内。