別記事にて、「中堅社員」の定義を入社5~10年で20代後半から30代前半の社員とする、人事担当者等からの聞き取り調査の結果報告を元に「中堅社員に求める役割」について述べています。
これによると、会社が中堅社員に求める役割とは「職場の後輩の育成」とする声が7割で他に「自業務の改善」・「職場の活性化」続いています。また、会社としては中堅社員に役割意識を強く持ってもらいたいという要望が強いことがわかりました。そしてこれらが、中堅社員の心構えとして必須のものと位置づけています。
中堅社員に求められること その課題
「役割意識を強く」という要望は、裏返して言えば、現状がそうではない、すなわち、中堅社員には役割意識が希薄であるということの証左にほかならず、中堅社員に求められることに、彼らが対応しきれていないということが浮き彫りになっています。
結論として、この調査結果が物語る状況は、現状の中堅社員の多くが会社が期待する役割を果たしていないということと、会社として強化対応を考えているものの、なかなか実施が出来ないでいる、というものでした。
会社が求める中堅社員像を実現するための対策。これが、会社サイドからして実施されていないということです。今後とも、「中堅社員に求められること」については、中堅社員のみの問題ではなく、会社側の問題でもあるということを継続して認識していくことが必要です。
会社の求める中堅社員像の具体的項目
中堅社員とは何か?どうあるべきか?という課題については、最終的には【会社の求める中堅社員像】ということですが、中堅社員像にふさわしい役割とは、具体的には以下のとおりとなっています。
- 職場の後輩の育成
- 自業務の改善
- 職場の活性化
- シナリオ構築の遂行
- 後輩への良きメンターであること
- 的確な状況対応能力
後輩の育成には、計画的な指導・育成が求められています。自業務の改善とは、日常の業務を振り返り主体的に効率化していくこととされています。
職場の活性化には、人間関係を円滑にして職場の連帯感を向上させることを求めています。
シナリオ構築の遂行には、目標達成に向けて具体的手段を考案して計画化することを求めています。
後輩への良きメンターであることとは、公私にわたって後輩への良き相談役となることとしています。
的確な状況対応能力とは、意見の食い違いやトラブル等に対して動揺することなく、的確な判断を下せることを求めています。
中堅社員に求められるスキルの習得は会社にも責任が
言うは易く・行うは難しです。
前述の「会社の強化対応が実施が出来ないでいる事について申せば、「会社の求める中堅社員の役割」を遂行できるスキルの習得こそ、その強化対策なのではないでしょうか。そして、その強化対策を実施できないでいるうちは、【会社の求める中堅社員像】はいつまでたっても「絵に描いた餅」であり続けてしまいます。
おそらくは、こういった会社は研修の際の資料や文書のどこかに、該当する内容を秘めているのでしょうが、組織として、「個人個人の育成」という観点が欠落しているように思います。
中堅社員とは実に、このような立場に置かれた社員のことを指すことばであるようです。
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