こころとからだのしくみと生活支援技術のカリキュラムから、記憶の基礎知識に関する介護職員初任者研修修了試験の模擬問題と正解(解答)、及び、補足事項を記しています。
記憶の基礎知識に関する次の記述のうち、適切でないものを一つ選びなさい。
- 記憶想起の方法である再生は、記憶した内容をそのまま想起することで確認できる。
- 記憶内容を保持するためには、内容を意識的に反復するリハーサルが必要である。
- 短期記憶は保持時間が短く、数秒から数十秒程度である。
- 加齢に伴う記憶障害では、エピソード記憶と比べ手続き記憶の想起が難しくなる。
- 記憶の干渉は、前後の記憶の内容が類似しているほど影響が大きいことが明らかになっている。
正解:4
「加齢に伴う記憶障害では、エピソード記憶と比べ手続き記憶の想起が難しくなる」は適切でないので正解。正しくは⇒いつ、どこで、何をしたかという時間や空間の情報を含んだ個人の記憶をエピソード記憶といい、身体で覚える手続き記憶より加齢による影響を受けやすいとされる。
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記憶の基礎知識に関する模擬問題の【適切】なものの補足
- 「記憶想起の方法である再生は、記憶した内容をそのまま想起することで確認できる」は適切である。記憶が保持されたかを確認するため、その内容を想起する方法として、設問の再生の他には、手がかりとなる情報と照らし合わせる再認がある。
- 「記憶内容を保持するためには、内容を意識的に反復するリハーサルが必要である」は適切である。リハーサルには、くり返し言って覚える「復唱リハーサル」と、情報を語呂合わせなど覚えやすいかたちに変えて覚える「精緻化リハーサル」がある。
- 「短期記憶は保持時間が短く、数秒から数十秒程度である」は適切である。なお、感覚記憶は短期記憶よりもさらに短く、注意を向けたものだけが短期記憶に送られるしくみである。
- 「記憶の干渉は、前後の記憶の内容が類似しているほど影響が大きいことが明らかになっている」は適切である。記銘された情報が、前後の情報の影響により記憶情報は忘却されるという考え方を干渉説といい、一方、保持された情報が時間経過により失われていくことで忘却されるという考え方を減衰説という。
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