所信表明という言葉。それは決意表明と大変に似ている言葉です。所信表明を辞書で調べると、自分の信ずる所を明らかにする、話す、とあります。そして決意表明はと言えば、心に決めたこと、その内容を明確に表すこと、とあります。双方、所信と決意と、言葉こそ違え、同じことのように思えます。
このようなことに加えて、例えば、【横綱 所信表明】と検索すると、「横綱の決意表明」が多々ヒットしますが、これは、検索需要の多さから言って、所信表明と決意表明が極めて似た言葉として扱われていることの証左であって、更なる疑問が深まる一方です。
いったい、使い方としてどのように違うのでしょうか。
タイトルにある、所信表明の例文と書き方については、下記リンク先や当記事の内容からご判断下さい。以降に述べていますが、所信表明の場合、決意表明のように、簡単に例文や書き方を提示してもそのまま使える・・というものでもありません。
【所信表明とは】その使われ方
所信表明の使われ方として有名なのが国会での総理大臣による所信表明です。二度目の総理大臣に返り咲いた安倍晋三氏もそうですが、国民に大変人気のあった小泉純一郎氏の所信表明は今でも人気があると言います。また、いい意味でも悪い意味でもスケールの大きかった田中総理、この方の所信表明は今でも調べる人がいるといいます。いずれにしろ、総理大臣による所信表明では、現総理大臣としての、政治に関する重要な考えが表明されていることは明らかです。
この段階で、明らかなことを申せば、所信表明演説という言葉はあっても決意表明演説という使われ方はまず無い、ということが言えます。
芸能界やスポーツ界にも所信表明がある
かたや、エンタメ・芸能化で、AKB48の大島優子さんや「たかみな」こと、高橋みなみさんの発言にも「所信表明」なる言葉が使われたことは多くの人の知るところです。そして、この場合もきちんと、【大島優子 所信表明演説】というような使われ方がされています。
☆AKB総選挙1位*大島優子♪所信表明演説全文!(Google+より)
さらにスポーツ界でも、所信表明は行われています(使われていました)。
ここで、企業・会社に目を向けて見ましょう。入社式や内定式で、新入社員がスピーチさせられることで有名なのが『決意表明』です。そして、このような席で、社長が行うスピーチは社長の挨拶であるとか、社長の祝辞と言われます。社長の所信表明とは言いません。
ところが、『社長の所信表明』というタイトルの情報は確実に存在しています。
フジテレビ新社長が所信表明!「課せられた使命は視聴率の向上!」
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所信表明は聴衆に価値ある内容であること
ここまでいろいろと見てくると、決意表明はけっこう使われるものの、『所信表明』は、おいそれと使えない言葉であることがわかってきたかと思います。
新入社員がそれぞれに、決意表明をした場合、その内容がどうであっても咎められることはそうそうないでしょう。しかし、所信表明ともなると、公にも責任ある発言内容でないと「絶対にまずい!」ということが言えます。政界の総理の所信表明は言うまでもなく、芸能界やスポーツ界での時事には多くの熱烈なファンが居り、その関心の度合いは半端ではありません。
このことは、所信表明の発言内容が、『所信表明演説の場の、聴衆やこれを耳にする多くの人たちにとって、意味があり価値があるものでなければいけない』ということを物語っていると言えましょう。
新入社員の目標の一つに、所信表明ができるようになる!というのがあっても良いかもしれません。